WOWOWで今後日本初公開される映画の中で特に注目の作品を2本紹介します。
ルーベ、嘆きの光
放送日時:3月5日(木)21時〜、3月18日(水)14時55分〜
英題『Oh Mercy!』
制作:2019年、フランス
あらすじ
ベルギー国境にほど近い、フランス北部の小さな町ルーベ。警察署長である中東系の警視ダウードが率いるルーベ中央警察の管内は、かつて栄えた各産業が衰退した上に、多様な民族が暮らすようになったためかか、凶悪犯罪が多発していた。やがてある夜、老女性が他殺体となって見つかる事件が発生。ダウードら捜査班は、老女性の家の近所に住む貧しい女性2人、クロードとマリーを怪しいと見て逮捕し、入念な取り調べを始めるが……。
引用元:WOWOW
監督は『あの頃エッフェル塔の下で』『ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して』『クリスマス・ストーリー』などのアルノー・デプレシャン。
アルノー・デプレシャン監督作は『ルーベ、嘆きの光』の前に作られた『イスマエルの亡霊たち』は2017年の東京国際映画祭で上映されましたが、その後はソフト化や配信なども現時点ではされていないですね。
主演は『この愛のために撃て』や『シャドー・チェイサー』などに出演し、『ショコラ 君がいて、僕がいる』などで監督も手掛けているロシュディ・ゼム。
共演は『アデル、ブルーは熱い色』でセザール賞2014の主演女優賞にノミネートされ、ハリウッドでも活躍しているレア・セドゥ、『戦争より愛のカンケイ』でセザール賞2011の主演女優賞を受賞したサラ・フォレスティエ、『BPM ビート・パー・ミニット』でセザール賞2018の助演男優賞を受賞したアントワーヌ・レナルツ。
レア・セドゥは2012年の東京国際映画祭で『マリー・ アントワネットに別れをつげて』が上映された時にゲストとして来日したので、その時に生で見たことがあるのですが、上映前の舞台挨拶では、ブノワ・ジャコー監督とレア・セドゥがフランス語で話したことを日本語に訳し、訳された日本語を今度は別の通訳が英語に訳して進行していたのですが、2度訳される過程において意味のニュアンスが若干変わってしまったらしく、訳された英語を聞いていたレア・セドゥが訂正を加えていた姿が印象に残っています。
『ルーベ、嘆きの光』はカンヌ映画祭2019のコンペティション部門出品作で、セザール賞2020では作品賞・監督賞・主演男優賞(ロシュディ・ゼム)・助演女優賞(サラ・フォレスティエ)・脚色賞・撮影賞・音楽賞の7部門にノミネートされて、主演男優賞を受賞しました。
ロシュディ・ゼムは助演男優賞や脚色賞などで過去5回セザール賞にノミネートされた経験がありましたが、6回目のノミネートで初受賞となりました。(初ノミネートから初受賞までの年数は20年)
アルノー・デプレシャンが監督賞にノミネートされるのは今回で5度目でしたが、『あの頃エッフェル塔の下で』以来2度目の受賞とはならず。作品賞や脚本賞、脚色賞なども合わせるとセザール賞には17回ノミネート経験があります。(受賞は1度だけ)
音楽のグレゴワール・エッツェルがセザール賞にノミネートされるのは今回が4度目でしたが、初受賞とはならず。この方は『灼熱の魂』の音楽も手掛けています。
撮影のイリナ・ルブチャンスキーは『あの頃エッフェル塔の下で』以来2度目のノミネート。本家のアカデミー賞では撮影賞部門にノミネートされたことがある女性は『マッドバウンド 哀しき友情』のレイチェル・モリソンだけですが、セザール賞2020の撮影賞部門ではイリナ・ルブチャンスキーと『燃ゆる女の肖像』のクレア・マトンの女性2人がノミネートされていますね。(クレア・マトンは受賞も果たす)
ザ・グレイテスト・キング
放送日時:4月2日(木)21時〜、4月15日(水)14時50分〜
英題『Romulus & Remus: The First King』
制作:2019年、イタリア
あらすじ
ロムルスとレムスという兄弟は家畜を飼って生計を立てていたが洪水で家畜も土地も失った上、アルバの国の兵士たちによって捕らわれの身となる。だがロムルスが重傷を負わされながらもレムスは率先して兵士たちに反撃し、一緒に捕まっていた庶民たちを解放し、彼らのリーダーのような存在に近づく。やがて巫女(みこ)から王になれるのはひとりだけと告げられる中、レムスは自分こそが王であると自身に言い聞かせるようになり……。
引用元:WOWOW
監督のマッテオ・ロヴェーレが過去に手掛けた作品は、2008年の『少女たちの棘』、2011年の『妹の誘惑』、2016年の『ゴッド・スピード・ユー!』が日本に入ってきていますが、3本とも劇場未公開でソフトスルーです。『いつだってやめられる』3部作にはプロデューサーとして関わっています。
主演は『暗黒街』や『ダリダ あまい囁き 』などのアレッサンドロ・ボルギ。
共演はイタリア映画祭2018上映作『イタリアの父』などに出演し、映画出演は本作が4作目のアレッシオ・ラピーチェ、本作が映画初出演のタニア・ガリッバ、『サンドラの週末 』でマリオン・コティヤールの夫役を演じたファブリツィオ・ロンジョーネ。
イタリア版のアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2020では、作品賞・監督賞・主演男優賞(アレッサンドロ・ボルギ)・助演女優賞(タニア・ガリッバ)・脚本賞など15部門でノミネート。15部門でのノミネートは、マルコ・ベロッキオ監督作『シチリアーノ 裏切りの美学』に次いで2位タイの多さ。(『ザ・グレイテスト・キング』と同じく15部門で候補に挙がったのはマッテオ・ガローネ監督作の『Pinocchio』)
マッテオ・ロヴェーレが監督賞にノミネートされるのは今回が2度目で、作品賞や脚本賞も合わせるとダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞には9回候補入り。
アレッサンドロ・ボルギは今回が6回目のノミネート。2019年に『On My Skin』で初受賞。2016年と2018年は主演男優賞と助演男優賞にWノミネートされているので、2016年から2020年の間で6回もノミネートされている俳優さんです。
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